80年の追憶

前から11月の温泉巡りは箱根・芦の湯の「きのくにや」と決めていた。
天候と紅葉の具合から、急遽前日になって宿に電話を入れた。
なぜ「きのくにや」かは、・・・


父の手元に古い写真がある。
右から、父、姪、そして父の父が写っている。
今から80年ほど前、昭和初期である。


P1090787-001.jpg

その同じ(と思われる)場所で今回、父を撮影した。
芦ノ湖畔、箱根神社の入口である。
日よけカバーがついた学帽を被った少年も、今は杖が離せない。


P1090716-003.jpg

国道1号線を少し戻っところに「きのくにやがある。
操業1715年。獅子文六の小説「箱根山」でも知られる。
西武と東急が箱根の観光開発を巡って争う・・・。

P1090740-024.jpg

父の一家は箱根に遊んだ時、「きのくにや」を定宿にしていたという。
そこで、今回もその頃(昭和初年)建築の吉昇亭に部屋をとった。
値段もリーズナブルで、加えて今回は前日予約の割引もあった。

P1090746-029.jpg

4畳ほどの縁側が付いた気持ちの良い12畳間。
80年ほどの年月で、廊下などのきしみはいかんともしがたい。
でも、古いものを大切に使っている姿勢に拍手を送りたい。


P1090748-031.jpg

硫黄香たっぷりの正徳の湯。
板張りと自墳するぬるめのミルク色の湯とで、タイムスリップ。
翌朝入った別の湯で見た湯の花におぼろげな記憶があると、父は言う。

P1090755-035.jpg

すぐ近くに箱根石仏群がある。そのひとつ、
曽我兄弟と巴御前の墓(と言われているが本当は無関係とのこと)。
父には、昔訪れた明瞭な記憶があると言う。

P1090733-018.jpg

旧東海道にある甘酒茶屋。
きのくにや、曽我兄弟の墓、お玉ヶ池と並んで父の記憶の中で今に残るもの。


P1090783-060.jpg

サービスの女性に、
「80年前、ここで甘酒を飲んだんですよ・・・」と。
あっさり味の甘酒を、気持ちよく父は飲みほした。

P1090776-055.jpg

冒頭写真にある格子模様の浴衣は宿のもの。
今回、「きのくにや」さんの当時の浴衣との確認は取れなかった。
宿のお嬢さんに、再訪の際までに確かめておいていただくこととした。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

80年の追憶

80年前の写真があるんですかぁ
私も探してみます
母が嫁に来た時に持ってきた古いアルバムがあるんです
我が家に残る写真は全て撮って貰った写真ばかりです
貧乏農家ではカメラなどあるはずがありませんからねぇ (^-^;

80年!

人の生涯とはかくもドラマチックなものなのですね。
80年前の少年には、これほどの時代の変化を想像もしていなかったことでしょう。
そして、そのときの記憶は、どんな最新鋭のレコーダーでも及ばない価値があります。
しかしよい趣の宿ですね。灯台下暗しで、箱根に宿泊したのは某○平荘を除けばほんの数回という僕には、改めて箱根を見直す機会になります。

No title

武さん、いつもブログ楽しませていただいております。初めてのコメントです。お爺様が武さんによく似ていてびっくりですね。
それにしても武さんがお父様を大事にされていること、感服します。私は昨年父を98歳で見送りました。毎朝仏壇の前でお経を読んでいます。お父様がいつまでもお元気でいらっしゃることを心から祈念しております。

箱根親子旅?

毎回、感心して拝見しております。今回はお父様の振り返りの旅を見事に考え抜かれておりますね。どちらがお父様か?一生涯思い出になりそうです。

思い出

あまりお話をされないお父様も、このときばかりは80年前の記憶が蘇っていきいきとされたのでしょうね。まだ当時の面影が残っていてよかったですね。これからもまた、記憶をたどる旅行を続けるとお父様も楽しみが増えていいですね。ご苦労様でした。

Re: 80年の追憶

yukiさん、家族写真は今回のもの以外にはほとんどありません。
多くは修学旅行の団体写真とか・・・
今回のものは、おそらく何かの手立てをして写してもらったものでしょう。

実は、冒頭の2枚の写真を見比べると、ある不思議なことがあります。
その解明は後日と考えています。

Re: 箱根親子旅?

青ちんさん、何も趣味のない父が、唯一楽しみにしているのが温泉旅行です。
毎月1回、どこに行くか、父が決める時があれば、私の時も。
特に、今回は父が昔泊った宿だけに感慨が深かったようです。

Re: 80年!

となりのじろろさん、父は仕事一途で、私らとの泊りがけの家族旅行もありませんでした。
その父の数少ない旅行が、子供時代に、きのくにやに泊っての家族旅行だったのです。
それだけにいくつか、鮮烈に覚えているようです。
きのくにやのことは、数ヶ月前に初めて聞いて知ったことでした。

私は、国道1号で芦ノ湖に下る際、あの先に「箱根山」の旅館があるのだな、と思うだけでした。
かつての職場旅行も強羅辺りまででしたよね。

Re: 思い出

エメンさん、宿でも、甘酒茶屋でも、懐かしがっていました。
冒頭の古い写真、自分では旧制中学生のときかもしれないと言っていましたが、
学帽野徽章をパソコンで拡大したら、三菱のような形だったので、小学生と判明しました。
でも、小学校の時の徽章を覚えていたのには感服です。

Re: Re: No title

> ケンさん、初めてのコメントありがとうございます。
> 目じりの下がったところ辺りが似ていますか?
>
> 父には、あと6年で100歳だけど、太鼓判を押すよと日ごろ言っています。
> でも、東京オリンピックをもう一度見ようよ、の方がいいでしょうね。
> 仏壇のおりん、出来るだけ毎日鳴らすようにします。
>
> また、コメントをお待ちします。

No title

年老いて、子供時代の思い出の場所を訪ねるというのは、考え抜かれた素晴らしいアイデア、素晴らしい親孝行ですね。
この2枚の写真の間、80年間の歳月には様々なことがあったでしょうね。
全くの部外者の私でさえ、不思議な感慨が湧いてきます。
まして当事者にとってはなおさらでしょう。
写真の持つ何か不思議な力を見た思いがします。

Re: No title

メイの家さん、父は温泉に行きたいと言うのですが、どこへとはあまり言いません。
その知識がないのです。
その中で、昔泊ったこの宿の名前をずっと覚えていて(そのことがびっくり)、もう一度泊りたいと自分から言ったのです。

80年は、人間だけでなく写真の背景の景色にも大きな変化がありました。
そのことに関して、調べたうえで、報告しようと思っています。
プロフィール

Shige Haru

Author:Shige Haru
●小学校3年生のときの理科の宿題が「季節のたより」
●何の花が咲いた、何の鳥が鳴いていた、初カツオを、あるいはイチゴを食べた・・・と日記風に書き記した。今と違って食材にも季節が感じられた。
●そんな季節を感じられる便りを、八ヶ岳南麓の里と横浜の自宅から、お伝えしていきます(故あって、今しばらくは自宅からが主となっています)。

カレンダー
07 | 2017/08 | 09
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 31 - -
最新記事
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
訪問者数
お知らせ
<コメントをお送りください>
●各記事の末尾(スポンサーサイトの下)に「コメント:数字」があり、これをクリックすると投稿欄が出てきます。
●お名前(適当に)と本文を書いて、簡単な数字の入力が求められ、あとは送信ボタンを押すだけ。ご自身のアドレスなどの欄は空欄でOK。
●コメントはどうも・・・という方は、拍手のボタンを押してください。ブログを立ち上げなおすと、拍手の数が増えたのが確認できます。
最新コメント
リンク
RSSリンクの表示
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
最新トラックバック