左官の技と自然の神秘

今月の温泉巡りは、西伊豆の堂ヶ島温泉。

その宿にほど近く、なまこ壁で知られる松崎町がある。
なまこ壁とは、黒い平瓦の目地を防水のため漆喰で塗り固めたもの。
丸みを帯びた断面が海の「なまこ」に似ることによる。


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こちらは昔呉服商の家だった中瀬邸。
今は町に寄贈され資料館となって一般公開されている。


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その土蔵の扉には立派なこて絵が施されている。
漆喰を使って、こてで盛りあげる。

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目の前の那賀川に架かる橋もこて絵で彩られている。
欄干の四隅とも、やや色あせてきているが満開の桜の絵がら。

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江戸から明治に活躍した左官職人・伊豆の長八はこの町の生まれ。
今にも飛び出さんばかりの迫力である。(以下2枚、長八美術館にて)

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しかし、長八のこて絵は華麗な色彩を用い、絵画のように描くことに特徴がある。その作品の鑑賞には虫眼鏡が必要なほどである。
丸一山荘やその近在のこて絵を以前紹介した(→そのブログ)。
だが、長八の作品は別格であり、芸術の域にある。


P1010331ぼかし

一方、堂ヶ島といえば、船での洞窟巡りが恒例。

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洞窟に差し込む光が美しい。

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堂ヶ島とは数十の島の総称で、その中の三四郎島はトンボロで有名。
干潮時にだけ陸続きになる。

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数時間後には、海に没する。
三角の小さな岩の頭だけ残して・・・

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長八の感性を育んだ堂ヶ島・松崎の自然。
漆喰は、海藻、藁、石灰からなる、やはり自然が源。
長八の作品は、関東大震災で多くが失なわれたのが残念である。

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漆喰壁

八ヶ岳南麓編にも特集されていますので、この漆喰芸術シリーズはますます奥が深くなりますね。
伊豆の長八は有名ですが、彼は芸術家ではなく腕のいい職人でした。
芸術と技術は同じですね。
僕的には、ぜひ浅川近辺での悉皆調査を再開していただきたいと思っています。
全力でお手伝いしますよ。

こて絵

りっぱなこて絵ですねぇ
重厚な蔵にまさにぴったりです
文化財として芸術として永く伝えたいものです (^.^)

No title

これはまた素晴らしいこて絵、確かに芸術品のいきです。
意識して保存しないと、そのうち消えてしまいます。
このブログによって広めていくのも、手段の一つかもしれません。

Re: 漆喰壁

となりのじろろさん、長八は東京に出て絵の勉強をしたとのこと。
ですから、額に納めて観賞するようなものを、晩年に多く作りました。
ブログで、虫眼鏡で見ている作品もそうです。
左官の域を越えた存在であり、技術だったのです。

一方、農の里とその近在のこて絵は、土蔵等の左官の仕事をさせてもらったお礼にと、描くもの。
画材も、施主の趣味・嗜好に沿ったものが多かった。
悉皆調査、再開の際にはお手伝いよろしくお願いします。

Re: こて絵

yukiさん、蔵という存在そのものも素晴らしい建築物であり、技術です。
それを引き立たせるのが、こて絵ですね。
漆喰という自然素材を使って作ること、日本人の英知です。
最近の建築では壁塗りそのものが無くなってきているのが残念です。

Re: No title

メイの家さん、何事も永く伝えて行くのは大変ですね。
長八は主に東京で仕事をした関係で、作品は東京が多かったとは、今回知りました。
今は、東京には数点しか残っていないようです。
今回のブログ、カテゴリを「こて絵」に変更しました。

No title

鏝絵って何?とブログをあちこち見てしまいました。
左官をさせてもらったお礼と書かれてありましたが・・
その方の好みのものを描いているのでしょうか?
それとも、させてもらった家の好みとか、合うものとして
描いているのでしょうか?
すみません。無知でよく分からないので 教えて下さい。
そういえば・・家の建て方と比例して
左官屋さんが少なくなったように思えますが・・
日本の家屋を支える大切なものだったのですよね。
何でもそうですが、良いものが消えつつあるように思えます。
堂ヶ島洞窟巡り、子供たちが小さい時に行きました。
旦那は伊豆は混むから嫌だと言って行きませんでしたよ。

Re: No title

なおちんさん、お礼として描く題材は、まずは施主の好み、それがなければ施主の家に関連したものを、それもなければ職人が好きに描いたようです。
漆喰は磨きあげると鏡のような面になりますし、防火性能もあります。
日本が誇れる素材、技術なのに、手間賃がかかるので・・・。

堂ヶ島まで行ったとは!大変だったでしょうに。
旦那の気持ち理解できます。
平日なら大変空いていますので、今度はご夫婦でどうぞ。
プロフィール

Shige Haru

Author:Shige Haru
●小学校3年生のときの理科の宿題が「季節のたより」
●何の花が咲いた、何の鳥が鳴いていた、初カツオを、あるいはイチゴを食べた・・・と日記風に書き記した。今と違って食材にも季節が感じられた。
●そんな季節を感じられる便りを、八ヶ岳南麓の里と横浜の自宅から、お伝えしていきます(故あって、今しばらくは自宅からが主となっています)。

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